当院のデジタル化の取組みについて
1.歯科診療におけるデジタル化
歯科診療におけるデジタル化、つまり「デジタルデンティストリー」の有効性が謳われてから長い月日が経過しています。
診療報酬を請求するためのレセプト(診療報酬明細書)を作成するコンピューターシステム:レセプトコンピューターシステム(通称 レセコン)については、既にほとんどの歯科医院で導入されています。
また、デジタルレントゲン(2D)についても、ほとんどの歯科医院で導入されており、フィルムを用いたアナログレントゲンを未だ使用しているところはほとんどありません。
一般的な歯科医院におけるデジタル化がここまで進みました。
現在では、歯根部の構造を3次元的に捉えることのできる歯科用CTの導入が進んでおります※1。
また、粘土のような印象材をお口の中に圧着せずに、非接触型で歯型取りをすることのできる口腔内スキャナ―の導入も進んでおります※2。
これらのデジタル化の機器の導入率の向上により、「デジタルデンティストリー」が進み、歯科診療が効率化され、患者様の治療精度と効率化の向上を実現することができ、歯科医院の運営が改善されております。
※1 歯科用CTの導入率:1割未満(出典:東北大学大学院歯学研究科プレスリリース資料、H28.1.12)
※2 口腔内スキャナーの導入率:2.9%(2019年技工士ドットコム調べ)
2.当院のデジタル化の取組み
当院では早期からデジタル化への取組みに注力しております。
まず、前述のレセコンを導入し、それまで紙で処理をしていたレセプトの電子化を行い、事務効率の向上を実現しました。その後、歯科用CTを導入し、歯根部の精緻な3次元構造(歯質、神経、血管、病巣等)を踏まえた精度の高い治療を行うことができるようになりました。
また、県下ではかなり早期の取組みになりましたが、**年に歯科用CAD/CAMシステムとしてセレックシステム(デンツプライシロナ社製)を導入しました。
これによって、前述の口腔内スキャナーで採得した歯型のデジタルデータを基に院内で詰め物・被せ物を作製することができるようになり、虫歯治療を最短で即日完了させることができるようになり、数多くの患者様からお喜びいただいております。
ここで治療前の歯型、治療で装着した詰め物・被せ物、治療後の歯型のそれぞれの3次元の形状データを電子的に保存することができるために、従来の石膏模型の保存のように場所を取ることはありません。
また、必要なデータを何度でも瞬時に呼び出すことができ、全く同じ詰め物・被せ物を何度でも再生することすらできます。これは非常に画期的なことです。
3.当院の今後のデジタル化戦略
前述のとおりに、歯科用CAD/CAMシステム:セレックシステムの導入によって、虫歯治療を最短で即日完了することができるようになり、数多くの患者様からお喜びいただいております。
また、これによって歯科用CAD/CAMシステムを活用した歯科診療におけるノウハウを**年間蓄積しております。
しかしながら、本サービスは院内治療の患者様にのみ提供することができるものに留まっております。と言いますのも、口腔内スキャナーはW408mm×H1023~1190mm×D443と比較的大きな機器であるため、院外に持ち出すことができないからです。
当院の患者様の中には高齢の方も多く、通院できなくなる方も年々増えております。
また、当院では「コアトレース厨川」(盛岡市)といった高齢者施設等の外部施設での訪問診療も行っております。
そのような当院に来院できない方々の治療については、虫歯治療において、従前どおりに粘土のような印象材による歯型取りを行って、歯科技工所に詰め物・被せ物を外注する必要があります(外注期間は10日間程度)。
そのため、納品された詰め物・被せ物を持参して再度訪問し、詰め物・被せ物をセットすることとなります。
今後は、院内治療における虫歯の即日治療のノウハウを最大限に活用して、訪問診療においても虫歯の即日治療を提供できる環境整備をしたいと考えております。
4.当院の今後のデジタル化戦略を実現する体制
当院院長:前川 洋をCIO(最高情報責任者)とし、今後のデジタル化戦略を実現するための指揮を取ります。
また、当院副院長:前川 和恵が導入する機器の選定を行います。
さらに、訪問診療における虫歯の即日治療のためのマニュアルを院長が作成、訪問診療の際に持参する機器・器具の整理を歯科衛生士部門が行い、事務的処理に必要な装備の整理を歯科助手部門が行います。